| 発議案番号 | 発議案第8号 | 提出者 | 伊藤とし子 松島梢 木崎俊行 稲田敏昭 |
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| 議決年月日 | 令和7年12月15日 | 結果 | 否決 賛成10人、反対16人 |
| 農林水産省は、稲の節水型乾田直播栽培に関し、令和8年度予算の概算要求の重点事項として、検証の支援を入れるなど、推進に力を入れている。 節水型乾田直播栽培では、田植えを省略して、水を張らない田んぼに直接種をまき、その後も湛水せずに稲を育てる。労力のかかる田植えを省略でき、水の維持管理にもほとんど手間がかからず、農家の高齢化と後継者不足を解消でき、また大規模化が可能な新技術として喧伝されている。 しかし、デメリットも大きい。水を張らないので多種多様な雑草が生えてくるため、田んぼに種をまく前に除草剤などの農薬を散布する必要がある。また、山から田んぼに流れる水にはミネラルが豊富に含まれ、稲は化学肥料がなくとも十分育つが、乾田では栄養不足となり、化学肥料をかなり入れなければならない。 さらに、水田では毎年同じ田んぼから稲を作ることができるが、乾田では連作すると土壌が痩せ、十分な量を収穫できない「連作障害」が起きやすい。 このように節水型乾田直播栽培は、有機農業とは真逆の技術であり、農薬や化学肥料を大量に使い、連作障害も起きやすく、収量が安定しない農法であると言える。 一方、水田のメリットとして生物多様性の保全がある。水を張ることでトンボやカエル、水生生物など多様な命が育まれている。田植えや稲刈りを中心に里山文化も形成されてきた。また、水田は、湛水からの蒸発と稲からの蒸散で冷却効果を生み出すグリーンインフラとしての機能がある。 さらに、田んぼダムとして遊水池の機能もあり、近年のゲリラ豪雨などに対する防災機能を有している。 節水型乾田直播栽培の推進は、これら水田の多面的機能を破壊することにつながり、農村の消失を招く可能性が高いと言わざるをえない。 よって、本議会は、政府に対し、節水型乾田直播栽培を安易に普及せず、水田の多面的機能を維持することを強く求めるものである。 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 令和7年12月15日 佐 倉 市 議 会 内閣総理大臣 農林水産大臣 宛 |
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