発議案番号 | 発議案第7号 | 提出者 | 川口絵未 木崎俊行 藤崎良次 萩原陽子 稲田敏昭 |
---|---|---|---|
議決年月日 | 令和3年6月28日 | 結果 | 否決 賛成7人、反対20人 |
「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案」(以下「重要土地調査規制法案」)が通常国会で強行採決され成立している。 本法案は、「重要施設」の施設機能や「国境離島等」の離島機能を阻害する行為を防止するとの目的で、内閣総理大臣がこれらの存する地域で「注視区域」や「特別注視区域」を指定し様々な「調査」を行う。機能を阻害するおそれがあると認めたときには、その利用者に対して利用中止等を勧告又は命令、土地等の買い取りができるなどとし、命令に従わない場合には懲役刑や罰金刑を科すとするものである。これは、政府内で自衛隊基地周辺の外国資本による土地取得が問題視され、その規制を求める声から昨年末に立案されたこととされる。ところが、法案提出に先立つ政府答弁では、自衛隊や米軍基地の機能を阻害するような外国人による土地取得はこれまで一切ない旨の答弁が続き、本法案の衆院での審議中には、担当大臣からこの件に関する答弁拒否がなされるなど、立法事実自体が極めて疑わしい。 また、本法案の対象となる「重要施設」を自衛隊や米軍、海上保安庁のすべての施設のほか政令で定める「生活関連施設」とし、「注視区域」は無限定に拡大しうる。「注視区域」で行う「調査」についても、内閣総理大臣は、関係行政機関等から「土地等の利用者その他の関係者」という広範な対象に関する情報提供を求めることができるとされているため、その調査の範囲は、個人の思想信条等も含め、どこまでも拡大される懸念がある。さらに「阻害行為」の規定も極めて曖昧であり、先に成立した「デジタル改革関連法案」同様、人権保護の規定は皆無の法文となっているため、内閣総理大臣の命令のもと、基本的人権が広範に侵害される恐れがある。加えて、本調査においては、「関係者」自身による「情報提供」が罰則を伴って義務化されていることも、見過ごすことができない。 本県には陸上自衛隊はじめ、自衛隊基地が多数存在し、近年は日米オスプレイの「共通整備基盤」も機能している。そして首都圏の工業地域、電源供給地域として「注視地域」は多数存在するはずである。本議会においては、制定の必要性も曖昧でありながら、多くの住民のプライバシー権、思想信条の自由など基本的人権を侵害する恐れのある本法の施行について、以下の条件が整備されない限り、凍結するよう強く要望するものである。 1 「重要施設」指定の妥当性について、県及び当該自治体との徹底的な協議の実施と県及び当該自治体の同意を義務づけること 2 「調査」に関わる基本的人権保護の具体的ガイドラインを、県及び当該自治体と協議の上作成し、関連する議会での議決を義務づけること 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 令和3年6月28日 佐 倉 市 議 会 内閣総理大臣 内閣府特命大臣(防災 海洋政策) 宛 国家公安委員会委員長 |