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議員提出議案の詳細情報

発議案第1号 「こころの健康を守り推進する基本法(仮称)」の法制化を求める意見書

発議案番号 発議案第1号 提出者 文教福祉常任委員長
清宮誠
議決年月日 平成24年3月19日 結果 原案可決
今、国民の「こころ」は深刻な状況にある。平成十年から毎年三万人以上の人々が自殺によって命をなくしている。平成十七年には三百万人以上、つまり四十人に一人以上の人々が精神科を受診するようになり、今も増加傾向が続いている。
WHO(世界保健機関)の個人と社会が被る損失を計算した健康・生活被害指標(DALY指標)では、日本をはじめとした先進各国では精神疾患がガンや循環器疾患に比べても、最も高い政策的重要度にある疾患であることが明らかにされている。
平成二十三年七月六日、厚生労働省は「四大疾病」と位置づけて重点的に対策に取り組んできた「ガン、脳卒中、心臓病、糖尿病」に、精神疾患を加えて、「五大疾病」とする方針を決めた。糖尿病二百三十七万人、ガン百五十二万人に対して精神疾患は三百二十三万人に上り、重点対策が不可欠と判断された。
精神疾患に関しては、他の障害分野に比べ、人権・医療・福祉ともにハンディがある。精神疾患の症状による社会生活の困難さは、外から見えにくく、本人の生きづらさが理解され難いことなどから、他の二障害とは大きく異なっている。
福祉分野においては、平成十八年四月から三障害を一緒に支援する法律が作られたが、サービスの基盤体制は立ち遅れている。
また、医療においても、他の科とは大きな違いがある。精神科以外の入院病棟は、患者十六人に対し医師は一人以上であるが、精神科病棟では患者四十八人に対し医師一人になっている。患者と看護師は、他科の三対一ではなく、二〇〇五年までは半分の六対一が最低基準であった。二〇〇六年以降は四対一になったが、当面五対一で看護補助者も含んでよいことになっている。一般の医療水準よりも低く設定されており、慢性的な人手不足である。
 地域で暮らす患者を支える家族に対しても支援が必要であることが最近になってようやく認識されるようになった。英国では一九九七年から医療改革による自殺予防に取り組み、十年間で一五・二%減少という成果を上げている。統合失調症の治療としては、偽薬だけの場合の七〇%、薬物だけの三八%、薬物と患者への心理教育を併用した場合の三六%に比較して、その人に適した薬物療法と家族心理療法をあわせて実施すると再発率を一三%に低減させることができることを立証した。
 長期の精神障害を持つ人の家族が精神健康上の困難を持つ率は、一般の人々の三倍であることもわかっている。家族への精神疾患・治療についての情報提供や、実際的・情緒的な支援などが必要だが、日本ではこの部分も皆無に近く、ようやく家族教室などが開かれ始めたところである。
 厚生労働省は平成二十年度から二十一年度にかけて「今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会」を設け、現状を網羅的に明らかにし、今後の望まれる施策を報告した。この報告をもとに、平成二十二年四月から家族・当事者二十七名、医療福祉の専門家及び学識経験者六十三名が集まり、「こころの健康政策構想会議」を設立した。
 この会議では、家族・当事者のニーズに応えることを主軸に据えて、六十三回の会議を重ね、現実の危機を早く根本的に改革する提言をまとめ、平成二十二年五月末に厚生労働大臣に「こころの健康政策についての提言書」を提出した。
 この中で、精神医療改革、精神保健改革、家族支援を軸として、国民すべてを対象とした、こころの健康についての総合的、長期的な政策を保障する「こころの健康を守り推進する基本法(仮称)」の制定を強く求めている。
 よって、国会及び政府に対し、「こころの健康を守り推進する基本法(仮称)」の制定を求めるものである。

右、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。

平成二十四年三月十九日
佐 倉 市 議 会

内閣総理大臣
厚生労働大臣
文部科学大臣     宛
衆議院議長
参議院議長

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