請願第6号 日本政府に「核兵器全面禁止のための決断と行動」を求める意見書提出を求める請願書
受理日:平成28年5月26日
付託委員会:総務
付託日:平成28年6月13日
審査日:平成28年6月20日
審査結果:不採択(賛成少数)
議決日:平成28年6月27日
議決結果:不採択(起立少数)
萩原陽子
冨塚忠雄
藤崎良次
【請願要旨】
一、核兵器禁止条約の交渉開始についての合意形成をめざし、国連主催のオープンエンド作業部会や国連総会で被爆国としてふさわしい行動をとること。
一、米国の核兵器による「拡大抑止」、いわゆる「核の傘」に依存した安全保障政策から脱却すること。核兵器全面禁止条約の交渉開始を求める非同盟諸国やマレーシヤ決議にASEAN全加盟国をはじめ、中国、北朝鮮、インド、パキスタンが賛成していることをふまえ、アジアにおいて核兵器全面禁止の新たな対話と協力を開くイニシアティブを発揮すること。
以上の要旨について、地方自治法第99条第2項の規定により意見書を内閣総理大臣、総務大臣、外務大臣宛、提出すること。
【請願理由】
広島、長崎への原爆投下から70年を経て、いま世界では核兵器禁止の流れが大きく前進している。2012年に16か国の共同声明から始まった核兵器の非人道性を告発する動きは、昨年の第9回NPT(核不拡散条約)再検討会議で国連加盟国の8割を超える159か国に急速に広がり、第70回国連総会では核兵器を非人道兵器として全面廃絶することを求める決議「核兵器の人道上の帰結」が初めて採択された。
もう一つは核兵器の非人道制の告発にとどまらず、核兵器を禁止する条約、それに準じる法的措置を求める流れの強まりにある。国連総会では昨年に続いて核兵器の開発、製造から実験、保有、使用のすべてを禁止する包括的条約の交渉をただちにジュネーブの軍縮会議で行うことを求める非同盟運動の「ハイレベル会合の後追い」決議に加え、すべての国に核兵器禁止・廃絶のための法的ギャップを埋める効果的な措置を求める「人道の誓約」決議(オーストラリアが主導)や、核兵器禁止・廃絶する法的拘束力を持つ措置を求める「倫理的義務」決議(南アフリカ)が加盟国の三分の二を超える賛成でそれぞれ採択された。
さらに法的措置を議論する「作業部会」を求める決議「多国間核軍縮撤廃交渉の前進」も138か国が賛成して採択された。決議は国連総会の補助機関として今年スイスのジュネーブで期限、参加に枠をはめない「オープンエンド作業部会」を開催することを求め、市民社会の参加も重視している。
「唯一の戦争被爆国として、核兵器のない世界の実現」のために役割を果たすと繰り返し述べてきた日本政府は「生きているうちに核兵器の廃絶を」との被爆者の声、核兵器のない世界を求める国民の願いに応えるために、其の誓約にふさわしい行動をとることが強く求められている。
いまや世界の大勢は明瞭である。しかし、核保有五か国は核抑止力論に固執し、「ステップバイステップ」(=段階的な前進)を主張して、核兵器禁止を正面から議論することに反対し続けている。
いま日本政府に求められているのは、この現状を打開するための決断と行動にある。日本政府は昨年のNPT再検討会議において、「いかなる状況下でも核兵器が決して二度と使われないようにすることが人類の生存のためになる」とした159か国の共同声明に名をつらねている。核兵器が使用されないことを保障する唯一の道は「その全面廃絶である」と声明が訴えている意味は非常に大きい。自ら賛同した声明の内容を実現するために尽力するのは被爆国としての当然の責務である。