発議案第6号 攻撃型原子力潜水艦の建造・運用を断念することを求める意見書
伊藤とし子
石井昇
木崎俊行
稲田敏昭
議決日:令和7年12月15日
議決結果:否決
採決状況:賛成7人、反対19人
本年10月20日、自民党と日本維新の会が連立の合意文書を取り交わしたが、その中で、「長射程のミサイルを搭載し長距離・長期間の移動や潜航を可能とする次世代の動力を活用したVLS搭載潜水艦の保有」に言及している。
これは、事実上の攻撃型原子力潜水艦の建造と運用を意味しており、到底看過できない。
我が国は「原子力基本法」第2条において「原子力利用は、平和の目的に限り、安全の確保を旨として、民主的な運営の下に、自主的にこれを行うものとし、その成果を公開し、進んで国際協力に資するものとする。」と明記している。
にもかかわらず、財界主導の「防衛力の抜本的強化に関する有識者会議」によるミサイル垂直発射装置(VLS)搭載潜水艦について、「次世代の動力を活用することの検討も含め、必要な研究を進め、技術開発を行っていくべきである」との報告書を基に、政権与党は「原潜保有・運用」を安易に合意した。小泉防衛相は国会やメディアで、原潜の導入に関して、「議論を排してはならない」「周りの国はみんな持っている」など、刺激的な発言を繰り返している。
そもそも、原潜を保有・運営するためには、「原子力基本法」のほか、原子力を平和利用に限定している「日米原子力協力協定」、さらには法規ではないにしても「国是」とされている「非核三原則」の抜本的改正が不可欠となる。そのためには、広範な国民的議論が必須であることは言うまでもない。
さらに、我が国の防衛産業の造船技術の高さは認めるとしても、VLS搭載の原潜の建造経験、潜水艦搭載の原子炉の設計、自衛官による運用の経験は皆無である。それに加えて、原潜の核燃料である核兵器に匹敵するウラン−235同位体比90%以上の高濃縮ウランをどう調達し管理するのか、上記有識者会議の報告にも両党合意にも一切言及がない。
唯一の被爆国として、また福島第一原発の大事故を経験し、その影響を今も受け続けている自治体として、さらなる核被害をもたらす可能性の高い原潜保有と運用は、断じて認められるものではない。
よって、本議会として、政府に対し、攻撃型原子力潜水艦の建造・運用を断念することを強く求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和7年12月15日
佐 倉 市 議 会
内閣総理大臣
防衛大臣 宛
外務大臣