発議案第7号 こどもの貧困解消法の実効的施行を求める意見書
五十嵐智美
木崎俊行
稲田敏昭
議決日:令和6年9月25日
議決結果:否決
採決状況:賛成8人、反対19人
本年の通常国会で「子どもの貧困対策推進法」が改正された。最も大きな改正点は、法律の名称が「こどもの貧困の解消に向けた対策推進法」に改称されたことであり、対策を推進するのみならず、こどもの貧困をなくす、解消することが強く打ち出された。
さらに「妊娠から出産まで及びそのこどもがおとなになるまでの過程の各段階における支援が切れ目なく行われるよう」とされ、「こどもの貧困がその家族の責任に係る問題としてのみ捉えられるべきものではなく」「国民の理解を深めることを通じて、社会的な取組として推進されなければならない」と明記された。そして本法の目的に「日本国憲法第25条にのっとり」が追記され、まさしく「生存権」の問題としてこどもの貧困問題を捉えたことは特筆大書すべきである。
しかし、現実を見れば、困窮子育て家庭の半数以上が年間所得200万円未満、それに対し、ひとり親家庭への児童扶養手当はわずか月4万4,500円である。困窮子育て家庭を支援するこども食堂や食料支援の需要は増加し続け、民間ボランティア団体からは悲鳴が上がっている。また、民間団体のアンケート調査では、給食のない夏休みの短縮や廃止を求める困窮家庭の要望が想定外に多いという結果が出ている。
本法の理念を実現するためには、2023年の「こども家庭庁」発足以来の、実現性の乏しい「少子化対策」に予算や省庁の労力を費やすのではなく、こどもの貧困の現実を正確に見据え、本当に必要な支援が必要なところに届く施策を遂行することである。すなわち、国は自治体と連携して、学校教育費や給食費の完全無償化など、こどもの貧困を解消するための具体的な施策を進め、十分な財政措置を行うことが今こそ望まれる。
本議会としては、改正された本法の優れた理念に基づき、こどもたち誰もが健康で心豊かに暮らせる社会の実現のために、国として最大限尽力することを求めるものである。
以上、地方自治法第99条により意見書を提出する。
令和6年9月25日
佐 倉 市 議 会
内閣総理大臣
こども家庭庁長官
文部科学大臣 宛
厚生労働大臣