発議案第10号 離婚後共同親権導入を含む「民法等の一部を改正する法律」の廃止を求める意見書
木崎俊行
松島梢
稲田敏昭
議決日:令和6年6月24日
議決結果:否決
採決状況:賛成7人、反対20人
離婚後共同親権を導入する内容を含む「民法等の一部を改正する法律」が本年5月17日に成立した。しかし、本改正法の中間試案に対するパブリックコメントには8,000通を超える、例を見ないほどの多数の意見が寄せられ、個人の意見では共同親権に反対する意見が賛成する意見の約2倍であった事実が公表されている。また、「STOP共同親権」オンライン署名は23万人を超え、DVや虐待から逃れ、安心・安全な生活を取り戻そうとする方々や全国の弁護士会から反対の声が沸き起こっている。
夫婦関係は破綻しても親権の共同行使が真摯に合意され、子の利益にかなう場合には離婚後も共同親権としてもろもろの規律を定めることはあり得る。しかし、本改正法はそうした合意がない父母間にも、裁判所が共同親権を定め得るものであり、別居親による干渉や支配を復活、継続させる仕掛けとして使われるおそれがある。子どもの意見表明権も明記されない中では、子の権利や福祉が損なわれる危険を否定できないことは問題である。
さらには、共同親権の場合は、高校授業料無償化の所得認定で別居する両親の収入が合算され、無償化の対象から外れる事態が起きることを文部科学副大臣が認めた。児童扶養手当や奨学金といった親の資力を要件とした各省庁の支援策が、少なくとも32項目あると判明しており、その中には父母双方の収入を合算して支給を判断するものもある。ただでさえ養育費を受け取っている母子家庭の割合は2割台と低い中で、ひとり親家庭への支援制度などが使えなくなることがあってはならない。
よって、本市議会は国に対し、離婚後共同親権導入を含む「民法等の一部を改正する法律」の廃止を強く求めるものである。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和6年6月24日
佐 倉 市 議 会
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣 宛
法務大臣