発議案第7号 辺野古新基地建設に関わる代執行訴訟の取下げと沖縄県との真摯な対話を求める意見書
五十嵐智美
伊藤とし子
木崎俊行
稲田敏昭
石井昇
議決日:令和5年12月19日
議決結果:否決
採決状況:賛成6人、反対21人
10月5日、斉藤鉄夫国土交通相は、沖縄県名護市辺野古の米海兵隊新基地建設予定地の軟弱地盤の改良工事の設計変更申請について、9月の最高裁判決を受け、国が県に代わって申請を承認するよう「代執行」の訴訟を起こした。10月30日、その第1回口頭弁論が開かれ、玉城デニー沖縄県知事が意見陳述に臨んだが、国の要請どおり即日結審、しかし判決期日は示さないという異例の事態となっている。
本件は、辺野古新基地建設の主要部分である大浦湾の海底に極めて軟弱な地盤が存在していることを沖縄防衛局は調査で認知しておきながら隠蔽していたこと、それが明らかにされると、現実的な工法の目途なしにずさんな設計変更を申請し、沖縄県にその承認を強要したことが発端である。
最高裁判決は、最重要なこの軟弱地盤対策については一切触れず、そもそも工事そのものが可能なのか、という最大争点を完全に回避している。さらに沖縄県側には弁論の機会すら与えないという不合理で不当な判決である。
「代執行」は地方自治法で定められているとおり、@県が国の代わりに行う事務を怠った明らかな違反があること、A「代執行」以外の方法での是正が困難であること、B著しく公益を害することが明らかであること、の3つが条件である。しかるに、今回の代執行訴状ではその全てにおいて根拠が曖昧である。とりわけ県との協議を一切行わなかったこと、「公益」を「国の利益」のみに限定していることは、地方分権改革の基本である「国と自治体は対等の関係」に完全に違反している。全国知事会も、沖縄県の問題提起を受け、今回のような介入=「裁定的関与」の在り方の見直しを2021年以来強く求めているところである。
本議会としては、憲法で保障されている「地方自治の本旨」をないがしろにする国の「代執行」訴訟と、それに追従する司法に対し、地方自治体として強い危機感を禁じ得ない。玉城デニー沖縄県知事の「対話による解決を図る方法を放棄して代執行に至ろうとすることは到底認められない」「県民が示す明確な民意こそ公益とされなければならない」との意見を全面的に支持するものである。国においては地方自治の本旨を最大限尊重し、行政代執行訴訟を取り下げ、沖縄県と真摯に対話することを強く求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和5年12月19日
佐 倉 市 議 会
内閣総理大臣
防衛大臣 宛
国土交通大臣