発議案第11号 GX脱炭素電源法の成立に抗議し白紙撤回を求める意見書
五十嵐智美
木崎俊行
稲田敏昭
宇田みおこ
議決日:令和5年7月3日
議決結果:否決
採決状況:賛成7人、反対20人
5月31日、参議院本会議において「脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案」(以下「GX脱炭素電源法」)が、政権与党他の賛成を得て可決成立した。「脱炭素」の美名のもとで、危険極まりない原子力発電を政策として過剰に優遇し、将来にわたって私たちの負担で延命させようとする本法案の可決・成立の強行に強く抗議し、白紙撤回を求めるものである。
本法案は、2月10日に閣議決定された「GX実現に向けた基本方針」に基づいて、「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律案」(以下「GX推進法」)とともに上程された。既に、同法案は修正を経て5月12日に成立しており、国債発行も含む150兆円という巨額の資金を「脱炭素」の名目でつぎ込むことを、経産省の裁量で実行することが認められている。その内容を原発延命に集中させていくのが、今回成立した「GX脱炭素電源法」である。
その「GX基本方針」において、12年前の東京電力福島第一原子力発電所の大事故の教訓が一顧だにされなかったという倫理的姿勢と責任が問われねばならない。事故原発の現場の実情、避難民の生活救済、ALPS汚染水と汚染廃棄物の処理方策、全てが未解決であるにもかかわらず、本方針策定後、全国10か所で開催された「全国説明・意見交換会」は福島では開催されず、国会の審議過程で繰り返し求められた福島での公聴会開催も行われなかった。被災者の声も反映させず、大事故についての国と電力会社の責任をうやむやにしたままの原発延命など到底許されるものではない。
こうして本来ならば事故の当事責任者である電力会社が担うべき様々な責任を「国の責務」にすり替えたことで、世界の趨勢として衰退することが明らかな原子力産業を無意味に保護し、技術的に不安定でありコスト的にも問題の多い原子力発電を利用者・納税者の負担で支えることが正当化されることになった。そして、現在の上限60年という異常に長い原発の運転期間を、規制委員会ではなく推進する側の経済産業大臣の意向でいくらでも延長できるよう改変されたのである。老朽原発であり被災原発でありながら再稼働が準備されている東海第二原発に隣接する千葉県民として、決して容認できるものではない。
以上、本市議会は、今回の「GX推進法」並びに「GX脱炭素電源法」の撤回と、真の意味で環境に配慮した持続可能なエネルギー政策の公正な立案と実施をここに強く求めるものである。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和5年7月3日
佐 倉 市 議 会
内閣総理大臣
経済産業大臣 宛
資源エネルギー庁長官