発議案第3号 「残業代ゼロ制度」に反対し、導入方針の撤回を求める意見書
冨塚忠雄
戸村庄治
入江晶子
藤崎良次
議決日:平成19年3月9日
議決結果:否決(起立少数)
厚生労働省は、いま開会中の通常国会に日本版ホワイトカラー・エグゼンプション制度の創設を盛り込んだ法案を提出する方針を固めていましたが、世論の反対が強いために断念したと言われています。
この「残業代ゼロ制度」は、労働時間を1日8時間、週40時間以内と規定し、それを超えた場合は残業代を支払うと規定している現行法を改め、一定の要件を満たしている事務系労働者についてはこれを除外するというものです。
経団連は、年収400万円以上の労働者に対してこの制度を適用するように求めていますが、その場合、1013万人の労働者が対象になり、一人当たり114万円、総額11兆6000万円もの残業代を支払う必要がなくなると言われています。
この制度を導入する理由として、労働者は時間に縛られずに本人の裁量で自由に、自主的に働くことができ、家族と触れ合う時間も増えるということが挙げられています。
しかし、各種の世論調査などでは、かえって長時間労働が助長されるとか労働者の健康が損なわれるなどという指摘が出され、導入に対して強い反対の声が出されていました。
いま多くの労働者は、戦後最長の好景気が続いていると言われているにもかかわらず所得は年々目減りし、慢性的な長時間労働の中で過労死に至るという不幸なケースも起こっています。これは大きな社会問題になっています。
いま良好な労働環境を確立するために必要なことは、「残業ゼロ法案」を提出することでも、また、選挙戦術上から参議院選挙後に先送りすることでもなく、労働者がゆとりを持って働き、一定の収入を得て家庭でのふれあいが充分に出来るような状況をつくることです。そのために、まず、雇用状態が不安定な中で慢性的な長時間労働やサービス残業を余儀なくされている状況をなくし、現行法の労働時間を厳守することです。
よって、佐倉市議会は、政府及び国会に対し、残業代ゼロ制度の「ホワイトカラー・エグゼンプション」に反対し、関連法案の先送りではなく、導入方針そのものの撤回を求めるものです。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。
平成19年3月9日
佐 倉 市 議 会
内閣総理大臣
厚生労働大臣 宛
衆議院議長
参議院議長