発議案第3号 憲法への「緊急事態条項」の創設ではなく、憲法を生かすことを求める意見書
木崎俊行
五十嵐智美
藤崎良次
玉城清剛
稲田敏昭
議決日:令和2年6月22日
議決結果:否決
採決状況:賛成9人、否決18人
新型コロナウイルスの感染が広がり国民の不安が高まっている中で、安倍首相が憲法への「緊急事態条項」の創設の検討も含めて、憲法審査会での「活発な議論」を呼びかけたことは重大な問題です。もともと、「緊急事態条項」の創設は、憲法第9条への自衛隊明記などとともに、自由民主党改憲案の大きな柱の一つとして盛り込まれています。
「緊急事態条項」、いわゆる国家緊急権とは、「戦争・内乱・恐慌・大規模自然災害など、平時の統治機構では対処できない非常事態に、国家の存立を維持するため、国家権力が立憲的な秩序を一時停止して、非常措置をとる権限」とされており、「内閣の権限を強化し、国民の人権を制限し、民主主議の機能を停止させる恐れが強いもの」と批判されてきました。
第二次世界大戦前のドイツでは、ワイマール憲法第48条の「大統領非常権限」が乱発された結果、ナチス・ヒトラーの独裁政治に道を開きました。戦後制定された日本国憲法は、政府の行為によって再び戦争の惨禍を起こさないよう決意し、これに反する一切の法令及び詔勅を排除すると明記しています。
新型コロナウイルスの感染拡大を防止するために、政府がやるべきことは、「PCR検査体制と医療提供体制の強化への財政支出」及び「外出自粛や休業要請と一体での補償」に緊急に応えることです。それは、日本国憲法第25条「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」、また、第29条「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用いることができる」と定めている憲法上の当然の権利だからです。
よって、本市議会は国に対し、コロナ危機の打開のために、憲法への「緊急事態条項」の創設ではなく、憲法を生かすことを強く求めるものです。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和2年6月22日
佐 倉 市 議 会
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣 宛
法務大臣