発議案第5号 日米地位協定の抜本的改正を求める意見書
五十嵐智美
萩原陽子
冨塚忠雄
木崎俊行
藤崎良次
議決日:平成30年3月19日
議決結果:否決(起立少数)
「日米安全保障条約」に基づく「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(以下「地位協定」という。)」は、1960年1月に締結されて以来、58年にわたって見直しされることなく、我が国における米軍基地の提供のあり方、米軍と軍人等並びにその家族の法的地位を定める条約として運用されている。
この間に冷戦体制の崩壊をはじめ、我が国をめぐる国際的環境と安全保障政策に多大な変容があったにもかかわらず、多くの識者から指摘され続けている本「地位協定」の「米軍に強大な権益を認める」という、他国には見ることのない不平等性と不合理性は改善されておらず、さらにその解釈や運用には日米両政府の密約が大きく関わるという状況も続いている。
一時利用も含めれば全国30都道府県に128施設、面積約980平方キロの米軍基地がある。沖縄県内では、相次ぐ軍人・軍属による殺人やレイプ等重大犯罪と、軍用機墜落をはじめとした事故に見られるように、県民は生活全般への多大な影響と危険をこうむり続けている。
本来本「地位協定」は「旧安保条約」に基づく「日米行政協定」を見直し「新安保条約」締結を機に「より対等な関係」をめざして結ばれたはずである。しかし実際は、基地の提供と返還、環境保全と回復、軍人等の刑事責任と家族も含む民事責任など、すべてにおいて米国側が圧倒的に有利であり、我が国の主権も及ばない特権が密約により保護されているのが現状である。
昨年2月からの陸自木更津駐屯地での米海兵隊オスプレイの定期整備拠点機能の開始、陸自習志野駐屯地の訓練への米軍の参加など、千葉県もこの「地位協定」と無縁ではない。また事故率の高いオスプレイも運用する日米合同訓練も関東圏で頻繁に行われている。住民の生命と安全の確保に責務を有する地方自治体としては、これまでのような「運用改善」ではなく住民の基本的人権を守る観点からの本「地位協定」を抜本的に改正するよう強く要望するものである。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成30年3月19日
佐 倉 市 議 会
内閣総理大臣
防衛大臣
法務大臣 宛
衆議院議長
参議院議長