発議案第2号 8,000ベクレル/キログラム以下除染土の公共事業への利用方針の再検討を求める意見書
伊藤壽子
萩原陽子
藤崎良次
冨塚忠雄
木崎俊行
議決日:平成28年9月28日
議決結果:否決(起立少数)
環境省「中間貯蔵除去土壌等の減容・再生利用技術開発戦略検討会」は6月30日、東京電力福島第1原発事故に伴う福島県内の汚染土などの除染廃棄物について、放射性セシウム濃度が1キロ当たり8,000ベクレル以下であれば、公共事業の盛り土などに限定して、全国で再利用する基本方針を正式決定した。
基本方針では、再利用は管理主体などが明確な「公共事業」に限定し、@工事中の作業員や周辺住民の追加被ばく線量が年間1ミリシーベルト以下とするA工事終了後は、住民の1メートル離れた場所での追加被ばく線量を年間0.01ミリシーベルト以下に抑える、としている。
しかし、「原子炉等規制法」により、制限なく「安全に」再利用できるとされ、その算出根拠が今回の「追加被ばく線量を年間0.01ミリシーベルト以下」と同じである「クリアランスレベル」は同100ベクレル以下であり、厳重な管理が今も行われていることからすれば、明らかな「ダブルスタンダード」と言わざるを得ない。しかも、この「クリアランスレベル」ではセシウム以外計33種の放射性核種を想定してそれぞれの濃度に応じて評価し、合算で基準濃度を超えないことが定められているが、今回は「セシウム」のみの評価であること、また、内部被ばく(核種吸い込みなど)や累積被ばくが考慮されていないこと、地震、台風等の災害時の対応など、問題点は多い。
さらに、こうした大量の除染土の存在自体が、「早期帰還」を前提としたものであり、被災者への支援打ち切りなど、非人道的な帰還の強制と結びついているものでもある。
政府においては、今回の除染土の公共事業への利用方針を撤回し、根本的な再検討を求めるものである。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成28年9月28日
佐 倉 市 議 会
内閣総理大臣
環境大臣 宛
国土交通大臣