発議案第4号 地方自治の本旨に立ち返り、辺野古新基地建設工事の中断を求める意見書
五十嵐智美
上ノ山博夫
萩原陽子
冨塚忠雄
議決日:平成27年3月16日
議決結果:否決(起立少数)
現在名護市辺野古では、米海兵隊新基地建設工事が強行されており、抗議する市民との対立が連日続けられている。海上保安庁や県警による暴力的な弾圧は日に日にエスカレートしており、すでに多くの負傷者が出、2月22日には反対派2名の不当な拘束・逮捕すら発生し、今や生命の危険すら懸念されているところである。
1996年のSACO合意による「普天間基地の移設先」としての辺野古は、もはや単なる「移設」ではなく「全く新しい巨大基地建設」であることが明白になっている。今行われているのは「仮設桟橋」工事であるが、数トンから45トンもの巨大なコンクリートブロックを次々と海底に投下し、貴重なサンゴを破壊している。本格的な工事が始まれば、環境破壊は計り知れないものとなる。
沖縄県民は昨年度名護市長選、名護市議選、県知事選そして総選挙において、「辺野古新基地反対」の民意を内外に示した。それに対し、政府は総選挙のわずか一ケ月後に振興予算の削減案を発表した。県知事は話し合いのために、何度も上京して首相や防衛大臣に面会を求めたが、いまだ面会を拒否されている。考えを異にする者とは知事といえども面会せず、話し合いもしない。また予算も削る。これでは「地方自治」を政府自ら否定してしまうことになり、今まで進められてきた地方分権の議論は無に帰してしまう。地方自治は憲法第8章によって保証され、実体を備えた地域の社会的基盤であり「その機能を、法律を持って奪うことは許されない」と最高裁判決にもある。地方自治体は国の下部機関ではなく、両者は対等な立場であることを政府は肝に銘じるべきである。
翁長沖縄県知事は1月26日に前知事の「埋め立て承認」を検証する第三者委員会を設置し、同日に検証作業中の工事一時中断を沖縄防衛局に対し要請している。いやしくも民主主義国家である以上、圧倒的な県民の民意を背景にしたこの要請に安倍政権は応えるべきである。この問題は単に沖縄県のみの問題ではなく、地方自治体で構成されるわが国全体の問題であり、民主主義的統治そのものの危機につながりかねない問題と考え、以下強く求めるものである。
記
1.翁長県知事の要請に応え、検証作業中の工事を即刻中断すること。
2.海保と県警による過剰な警備をすぐさま解くこと。
3.沖縄県知事の求める首相及び関係省大臣との面談を、速やかに実現すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成27年3月16日
佐 倉 市 議 会
内閣総理大臣
防衛大臣
国土交通大臣 宛
衆議院議長
参議院議長