発議案第11号 ストレステストによる原子力発電所の再稼働を行わないことを求める意見書
上ノ山博夫
村田穣史
伊藤壽子
萩原陽子
冨塚忠雄
議決日:平成24年3月19日
議決結果:否決(起立少数)
二〇一一年三月十一日に発生した東日本大震災において、東京電力福島第一原子力発電所は大きな被害を受け、重大事故を起こし多量の放射能を放出し甚大な被害を与えた。佐倉市民にもその影響が大きく及んでいる。その様な中で、政府は原子力発電所(原発)のストレステストを行い、その結果により原子力発電所を再稼働するか否かを決めたいと発言した。なお、現在稼働中の原子力発電所は二基のみであり、この内、東京電力柏崎刈羽六号は二〇一二年三月二十六日に定期点検入り、北海道電力泊三号は同四月末までに定期点検入りとなる。
原子力発電所のストレステストとは、福島の原子力発電所事故後に、EUが自然災害に対する原発の安全評価のために始めたものであり福島の原発事故により、初めて「原発のストレステスト」が登場した。
原発はそれぞれの設計基準により設計され、運転がされているが、設計基準以上の震災や津波を想定し、どの程度の安全裕度があるかを机上で評価するものがストレステストである。ストレステストは、合否の判断基準が無く、原発建設者がテストを行ない、核燃料廃棄物の処分に対するテストが不十分、航空機墜落などへのテストが無い、などの理由で原発の安全性を十分に証明することはできない。
二〇一一年七月七日に菅直人前首相がストレステストの実施を表明し、七月二十二日には、原子力安全・保安院から電力事業者に対し、「総合評価(ストレステスト)」の実施が指示された。十月二十八日には大飯三号機(関西電力)のストレステスト結果が提出された。その後、二〇一二年二月二十日までにストレステストについての意見聴取会が九回開催されている。同二月十三日に、原子力安全・保安院は、大飯原子力発電所のストレステスト結果を原子力安全委員会へ報告した。
しかし、原子力安全委員長は、「安全性を高めるための資料として一次評価だけでは不十分」と発言して、現在のストレステストにより安全が確認できたわけではないことを表明した。
原子力安全委員長も言うように、このストレステストによって、重大事故が発生しないことを証明することはできない。それゆえ、ストレステストの結果により原発の再稼働を行うことには無理がある。それは、原発の重大事故は従来技術の事故に比べて格段に被害が大きく、超長期間のものとなるからであり、重大事故の発生は許されないものであるためである。
よって本市議会は、左記事項について強く要請するものである。
記
ストレステストによる原子力発電所の再稼働を行わないことを求める。
右、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
平成二十四年三月十九日
佐 倉 市 議 会
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
経済産業大臣 宛
文部科学大臣
環境大臣