発議案第8号 (仮称)原発事故被曝者援護法の制定を求める意見書
伊藤壽子
村田穣史
上ノ山博夫
冨塚忠雄
萩原陽子
議決日:平成24年3月19日
議決結果:否決(起立少数)
福島原発事故が発生して一年が経過した。東京電力の発表では、依然として毎時七千万ベクレルの放射性物質の放出が続き、高レベル汚染水が滞留する状況が続いている。
福島原発事故直後、放射性物質の放出についての正確な情報が、政府からも東京電力からも基礎自治体・住民に全く提供されなかった。そのため、適時・適切な避難措置がとられず、住民の避難が遅れ、放射性物質の拡散方向を知らないまま避難した住民は、多量の放射線被曝をこうむった。
特に、政府は、SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)の情報を、原子力災害対策特別措置法による防災基本計画に基づき、仮試算した拡散予測図形を関係自治体に知らせることになっているにもかかわらず公表しなかった。これは、災害対策基本法第三条に規定された国の責務に反する措置として、その違法性が国会でも指摘されている。
原子力安全・保安院の試算によると、福島第一原発一―三号機から大気中への放射性物質の放出量は、半減期約三十年のセシウム137で広島原爆の約百六十八倍に相当する一万五千テラベクレルという膨大な量である。日本原子力研究開発機構の試算では、三月二十一日から四月三十日までの海への放射性物質の放出量は、一・五京ベクレルを超えると公表している。
今、放射性物質の広がりによって、福島県内はもとより、東日本の広域において住民は長期の低線量被曝、汚染食品による内部被曝の不安にさらされており、住民の生存権を保障するため、住民の健康管理・被曝量低減に対する対応の強化が強く求められている。
よって、次の事項を実現するよう強く要望する。
記
原発事故による住民の健康管理については、国の責任において、特例法として(仮称)原発事故被曝者援護法を制定し、被曝者健康手帳の交付及び定期通院・医療行為の無償化、社会保障などを法的に保障すること。
右、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
平成二十四年三月十九日
佐 倉 市 議 会
内閣総理大臣
厚生労働大臣 宛