発議案第2号 原子力・エネルギー政策の転換を求める意見書
萩原陽子
上ノ山博夫
伊藤壽子
村田穣史
冨塚忠雄
議決日:平成23年10月3日
議決結果:否決(起立少数)
一九五七年に茨城県東海村で日本初の原子炉が稼動して以来、原子力発電は国の基幹エネルギーとして位置付けられ、増設されて来た。安いコストで安定的に電力を供給できることを理由とし、地球温暖化が世界共通の環境問題となってからは、CO2を排出しない発電として注目されることとなった。
原子力の平和利用として安全性が強調されて来たが、三月十一日の東日本大震災で、東京電力福島第一原子力発電所が壊滅的な被害を受け、冷却機能喪失による炉心溶融という事故を起こしたことにより、今までの安全神話は崩壊した。
原発事故の収束はいまだ不透明であり、放射能による広範囲の汚染はこれから長期間にわたって国民の健康と生活、経済に大きな影響を与え続ける。
発電と同時に排出される多量の死の灰を、安全に処理する技術はいまだ無く、高レベルの放射能を出し続ける使用済み核燃料を安定的に貯蔵する場所も無い。
利点として挙げられてきたCO2の排出についても、運転中は排出しないが、建設過程や使用済み核燃料の処理では多量のCO2を発生させ、ひとたび事故が起きればクリーンどころか大規模な汚染の発生源となる。
コストについても、事故の収束に莫大な費用が掛かる事から、もはや希望の持てる産業ではなくなり、アメリカでは金融業界が原発事業から手を引き始め、原発技術者のなり手がいないと報告されている。
一方、環境省の調査では、世界各国で出願された再生可能エネルギーに関する特許のうち、日本で出願された件数が五十五%を占め、日本の活発な研究実態が分かったが、生産現場の技術につながっていないことも明らかになった。国内市場が小さいため、実用化が遅れている。
環境省は再生可能エネルギーの量を原発エネルギーの四十倍と試算しており、今まで原発推進にかけてきた補助金を自然エネルギーに回せば開発・普及ともに大きく進み、雇用を生み出す産業として期待できるものとなる。
よって、命をおびやかす危険性が明らかとなった原子力発電から、再生可能な資源を利用したエネルギー政策にすみやかに転換し、安心安全な未来を子ども達に手渡すことを求めるものである。
右、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
平成二十三年十月三日
佐 倉 市 議 会
内閣総理大臣
文部科学大臣 宛
経済産業大臣