発議案第1号 放射能による環境汚染と放射性廃棄物の対策についての意見書
冨塚忠雄
上ノ山博夫
伊藤壽子
村田穣史
萩原陽子
議決日:平成23年10月3日
議決結果:否決(起立少数)
東京電力福島第一原子力発電所の大事故が起こり、福島県内はおろか、現地から二百キロメートル離れた当佐倉市も含めた広範な国土は、放射性物質による環境汚染のため大気や水、土壌や動植物などが放射性物質の影響を受けることになった。
当然それは住民の生活全般、産業などに不安をもたらし、その不安解消のために各自治体は全力を挙げて対策をとっている。しかし、それは限られた職員数と財政に大きな負担をかけているのが現状である。
東京電力が原因者責任で第一に対応すべきは当然としても、原子力発電を国策として推進してきた国は、この際、国民の不安を取り除き、最前線に立っている自治体の負担に対して全面的な支援を行うべきである。
しかるに国は原子力発電事故以来、食料や水などの暫定基準、さらには放射性物質を含む土砂や廃材、さらには焼却灰等の処理基準を次々と緩和、引き上げてきた。本来、放射性廃棄物かどうかを区別する基準については、現行のクリアランスレベル(放射性物質として取り扱う必要のないもの)である十マイクロシーベルト/年を基本として定める値(セシウム137については百ベクレル/キログラム)によるべきである。したがって百ベクレル/キログラム以上のものについては放射性廃棄物として厳重な取り扱いをすべきであり、八千ベクレル/キログラム(環境省通知)を超えるものについては、その移動や保管の際に一般公衆の被ばく線量限度である年間一ミリシーベルトを超える恐れがあるので、特に厳重な取り扱いが必要である。
さらに放射性廃棄物の焼却と埋め立てについては、施設の能力・性能について適切な検証を行い、公開と参加のもとに方針を決定した上でなされるべきである。さらに埋め立て処分場については他の廃棄物とは厳正に区別した上で保管や管理方針を定め、継続的な監視管理体制を整えたものを国が責任を持ってつくるべきである。
よって、国においては責任を持って、国民が安心できる環境汚染対策及び放射性廃棄物対策を行うとともに、自治体の財政支援に努めるよう強く要望する。
右、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
平成二十三年十月三日
佐 倉 市 議 会
内閣総理大臣
環境大臣
経済産業大臣 宛
厚生労働大臣
財務大臣