発議案第10号 司法修習生に対する給費制の存続を求める意見書
伊藤壽子
冨塚忠雄
兒玉正直
藤崎良次
工藤啓子
議決日:平成22年9月22日
議決結果:原案可決(起立多数)
二〇〇四年十二月、司法修習生への給費制を廃止し、修習資金を貸与する制度(貸与制)に切り替えるための改正裁判所法が成立した。同改正にあたっては、衆参両院で付帯決議がなされ、「統一・公平・平等という司法修習の理念が損なわれることがないよう、また、経済的事情から法曹への道を断念する事態を招くことのないよう、法曹養成制度全体の財政支援のあり方も含め、関係機関と十分な協義を行うこと」と明記されたが、同改正法自体に手が加えられることがないまま、本年十一月一日の施行期日が迫っている。
修習生は、司法試験に合格し、一年間の裁判所や検察庁などでの実習を義務付けられ、修習専念義務を負うため、アルバイト等は禁止されている。現在まで国は修習生に対し、研修医と同様に給与を支給してきた。「医師が人の命を守るように、法律家は人の権利や自由を守る」という公共性・公益性の点において共通する社会的役割を果たしており、給費制を打ち切るべきではない。
二〇〇九年十一月に日弁連が行ったアンケート調査では、司法修習生一五二八名のうち53%が奨学金などの債務があり、平均で三百十八万円、最高で千二百万円の借金を抱えていることが明らかになった。修習資金が貸与制になれば、さらに二百七十六万円から三百三十六万円が加算されることになる。しかし、修習を終了しても就職先が決まらない等の理由で弁護士登録をしていない人数が増加しており、リスクや負担の大きさが敬遠されて、法曹志望者が減少している。このままでは経済的事情から法曹への道を断念する人が多くなり、多様な人材を法律家として社会に送り出すことができなくなる。
よって本市議会は、国民の権利の守り手を育てるために、司法修習生に対する給費制を存続させるため、裁判所法の改正を強く求める。
右、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
平成二十二年九月二十二日
佐 倉 市 議 会
内閣総理大臣
法務大臣 宛
衆議院議長
参議院議長