発議案第4号 公契約法の制定を求める意見書
冨塚忠雄
兒玉正直
伊藤壽子
藤崎良次
工藤啓子
議決日:平成22年9月22日
議決結果:原案可決(起立多数)
昭和二十四年(一九四九年)に国際労働機関(ILO)は公契約条約を第九十四号条約として採択した。その概要は、公の機関を一方の契約当事者として締結する契約においては、その契約で働く労働者の労働条件が、団体協約または承認された交渉機関、仲裁裁定あるいは国内の法令によってきめられたものよりも有利な労働条件に関する条項を、その契約の中に入れることを決めたものである。
その上で、こうした契約の中に挿入された労働条項が遵守されなかったり、あるいはその適用を怠る場合には、適当な制裁が行われることとしており、この条項の有効な実施を図るために十分な監督制度の設置について考慮しなければならないとされている。
この九十四号条約について日本は未批准だが、世界で六十カ国が批准(その後英国が批准撤回)している。
条約採択から六十年を経た今日、日本の雇用状況は被用者総数の三分の一を越える非正規労働者となり、労働の対価が健康で文化的な最低生活費をまかなえないと思われる「働く貧困層(ワーキングプア)」の増大となって、日本社会が雇用と暮らしの不安で覆われている。国民・住民福祉の向上を図るべき行政部門でも、官製ワーキングプアの存在とその増大について警鐘が鳴らされている。
これまで全建総連などが公契約法制定の運動を進めてきたが、法制定には至っていない。しかし、昨年九月、千葉県野田市が公契約条例を制定して全国的な注目を浴び、その必要性が強く認識されることになった。この条例施行後、野田市においてはワーキングプア発生に一定の歯止めをかけうるものとして、その有効性が実証されている。
しかるに、いくつかの自治体で公契約条例の制定の検討を行っているものの、公契約法が制定されていないことが障害となっている。公契約条例については全国的な基準を法律で示し、自治体がそれを拠り所にして条例を制定するのが本来の姿である。
よって本市議会は国にあっては早急に公契約法を制定することを強く求める。
右、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
平成二十二年九月二十二日
佐 倉 市 議 会
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
国土交通大臣
厚生労働大臣 宛