発議案第12号 プルサーマル発電の中止とエネルギー政策の見直しを求める意見書
五十嵐智美
藤崎良次
冨塚忠雄
萩原陽子
工藤啓子
議決日:平成21年12月21日
議決結果:否決(起立少数)
九州電力は十一月九日、国内初の「プルサーマル発電」の試運転を玄海原発三号機で開始し、十三日に出力百%に達したと報道されている。今後伊方(四国電力)、浜岡(中部電力)、高浜(関西電力)でも同様の試運転が計画されている。
ウラン燃料とともにプルトニウム混入のMOX燃料を使用する「プルサーマル発電」は、発熱量の差、制御棒の効果の低減、ボイド係数の絶対値の増大等、原子炉の安全余裕を著しく損なうものであることは電力会社も認めるところである。地震多発の現在、事故時の危険性は確実に増大する。
さらに、使用済みMOX燃料の再処理等の取り扱いについても、現在の時点で明確となっていない。当初二〇一〇年ごろから検討を開始するとされていたが、繰り返される六ヶ所再処理工場の本格運転延期により、処理方策の検討は延期されたままである。使用済みMOX燃料は放射能の減衰が通常のウラン燃料よりも遅く、取り扱いはさらに困難となる。
世界的にも「高速増殖炉」も実用化の展望がまったく見えず、アメリカ合衆国では新政権下で「再処理中止」を明確に示している。このような中、「核燃料サイクル」に固執するわが国の原子力政策は、根本的な見直しを迫られているのである。
よって本市議会は、国に対し核兵器への転用も容易なプルトニウムを生産しつづける再処理を前提とする「核燃料サイクル」を見直し、プルサーマル発電のこれ以上の拡大を中止すること、安全で持続可能なエネルギー政策への根本的な転換を強く求めるものである。
右、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
平成二十一年十二月二十一日
佐 倉 市 議 会
内閣総理大臣
経済産業大臣 宛
環境大臣
文部科学大臣