発議案第9号 生存権保障水準を底上げする「新たなセーフティネット」の制度構築を求める意見書
冨塚忠雄
藤崎良次
五十嵐智美
萩原陽子
工藤啓子
議決日:平成21年12月21日
議決結果:原案可決(起立多数)
本年十月から緊急の「経済危機対策」として構築された就職安定資金融資、訓練・生活支援給付、住宅手当、生活福祉資金・総合支援資金及び臨時特例つなぎ資金貸付(以下「新たなセーフティネット」という。)が本格的に実施された。このように生活保護と雇用保険の中間に位置するセーフティネットが新設されることは、脆弱だったわが国のセーフティネットを改善・充実させていく第一歩として意義あるものと考える。
この中には生活福祉資金の総合支援資金において、連帯保証人の要件が不要とされたことや、保証人を付ける場合には無利息とされたこと、また、住宅手当が資産要件を生活保護基準よりも緩和したうえで、基本的に給付を内容とする制度として設計されたことはワーキングプアに対する支援としての意義が大きいものがある。
他方、「新たなセーフティネット」各施策は、緊急の「経済危機対策」として構築されたため、三年間の時限措置とされており、直近の離職者に利用者が限定されている施策が多い点、さらには貸付を中心とした施策となっている点や給付とされている制度についても権利性が保障されていないなどの限界や問題点が見受けられる。しかし、雇用保険と生活保護の中間に位置するセーフティネットの必要性は恒常的に存するものである。そこで、運用開始後の実情を検証して制度改善を図りながら、 「新たなセーフティネット」各施策を恒常的な施策としてつくりあげていくべきである。
よって本市議会は、「新たなセーフティネット」各施策が、生活に困窮した国民にとって真に使いやすく役に立つ制度となるよう、左記のとおり求めるものである。
記
一、雇用保険制度を大幅に拡充すること。
二、新制度の創設によって生活保護制度の利用が不当に抑制され、生活保護水準以下の新制度しか利用できない事態が生じることは厳に回避すること。
三、最低生活費以下の収入しかない者に対する施策は、貸付でなく給付を中心とする方向に改善すること。
四、給付制度の権利性を明確にし、利用要件を生活保護よりも緩和すること。
五、貸付の際の相談機能を高め、就労支援・家計カウンセリングを行った上、必要に応じて償還猶予や免除を十分活用すること。
六、相談窓口の一本化、人員体制の充実等によって利用しやすい制度とすること。
七、現場の実情を反映させた運用改善をくり返しながら、恒久的施策としていくための検討機関を設置すること。
右、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
平成二十一年十二月二十一日
佐 倉 市 議 会
内閣総理大臣
厚生労働大臣