発議案第6号 現行保育制度に基づく保育施策の拡充に関する意見書
文教福祉常任委員長
山口 文明
議決日:平成21年9月30日
議決結果:原案可決(起立多数)
少子化の進行にもかかわらず保育所の待機児童の増加が深刻な事態になっている。次世代育成支援に対する国と自治体の責任はこれまでにも増して大きくなっており、なかでも保育・学童保育・子育て支援施策の拡充に対する国民の期待は、2006年以降、第165回臨時国会、第166回通常国会、第169回通常国会、第170回臨時国会において「保育・学童保育・子育て支援施策の拡充と予算の 大幅増額を求める請願」が衆参両院で全会派一致で引き続いて採択されていることからも明らかである。
しかし、この間、保育制度を含む次世代育成支援の在り方については、経済財政諮問会議、地方分権改革推進委員会や規制改革会議などの議論を受けて、社会保障審議会少子化対策特別部会では保育制度改革論議が進められてきたが、本年2月24日にまとめられた「第一次報告」では直接契約・直接補助方式の導入を基本とした保育制度の抜本的「改革案」が提案された。これらは、今後の議論の課題である保育要件の見なおしや費用負担、事業者参入の在り方なども含めて、保育の公的責任を後退させる市場原理に基づく「改革論」であり、国会で採択された請願内容に逆行するものと言わざるを得ない。こうした「改革」は、これまで保育所が担ってきた子どもの発達保障の機能を揺るがし、保育の地域格差が広がるだけではなく、家庭の経済状況により子どもが受ける保育の水準にも格差が生じることになり、容認できない。
保育需要の増大がすすむなか、緊急に求められているのは、現行保育制度を改変し混乱を引き起こすことではなく、国と自治体が責任を負う現行制度のもとで緊急に希望するすべての子どもの保育所入所を保障する待機児童対策を具体化し、保育・学童保育・子育て支援施策の拡充と予算の大幅増額をはかることである。
よって、本市議会は、国において、下記項目の具体化をはかるよう、強く要請する。
一、認可保育所の新設・増設で待機児童の解消ができるよう緊急保育所整備計画の策定と特別な予算措置を行うこと。
二、児童福祉法第24条に基づく現行保育制度を堅持・拡充し、直接契約・直接補助方式、保育料応益負担を導入しないこと。また、保育制度改革の論議にあたっては、現行保育制度が果たしてきた役割をふまえ、保育の実施責任を負う自治体及び保護者や保育団体との意見交換を行うこと。
三、児童福祉施設最低基準(保育所の職員配置基準、施設設備基準)の規制緩和をせず、抜本的に改善すること。
四、保育所、幼稚園、学童保育、子育て支援施策関連予算を大幅に増額すること。
五、子育てに関わる保護者負担を軽減し、雇用の安定や労働時間の短縮など、仕事と子育ての両立のための環境整備をすすめること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成21年9月30日
佐 倉 市 議 会
内閣総理大臣
財務大臣 宛
厚生労働大臣
内閣府特命担当大臣(少子化対策)