発議案第13号 新たな在留管理制度と外国人台帳制度の整備に対する意見書
工藤啓子
冨塚忠雄
五十嵐智美
萩原陽子
議決日:平成21年6月29日
議決結果:否決(起立少数)
政府は、今年三月に外国籍者を住民基本台帳に記載するための「住民基本台帳法」改正案や「出入国管理および難民認定法」(入管法)改正案、「日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法」(入管特例法)改正案を国会に提出している。内容は、外国人登録制度を見直し、法務省が在留外国人の情報を一元管理するとともにその情報について各自治体と連携をとり「外国人台帳制度」の整備を行うというものである。
しかし、この一連の改正案は、外国人の人権を著しく侵害するとともに自治体の自治事務に対しての国の権限強化となり、とうてい認められるものではない。
例えば新たな在留管理において、法務省は、九十日以上の長期滞在外国人に対して「在留カード」の常時携帯、提示義務を刑事罰をもって科している。さらに「居住地」は市町村を経由して情報提供を担保させ、従わなければ刑事罰を科している。
市町村に対しては「自治事務」として法務省との連携のもと、「外国人台帳」の整備を行うが、法務省の在留管理で在留不可となった場合、「台帳」から削除させられ、「住民サービスの対象外」とされてしまう。オーバーステイや難民申請中の外国籍住民は「外国人台帳」から排除され、行政サービスに関連する権利、例えば子どもの教育を受ける権利や医療や社会保障を受ける権利からもはずされることになり人道的な観点から許されないと考える。
そもそも住民基本台帳事務は自治体の自治事務である。国の在留資格の有無と自治体が住民として受け入れることは別問題であり、国による地方自治への不当な干渉である。
よって本市議会は、国に対し左記の二点について要望する。
一、政府は、外国人の管理強化に繋がる新たな在留管理制度を撤回すること。
二、外国人登録法の廃止と共に、住民基本台帳法を改正し、国籍や在留資格の有無にかかわらず、外国籍住民を住民基本台帳の対象とすること。
右、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
平成二十一年六月二十九日
佐 倉 市 議 会
内閣総理大臣
法務大臣
外務大臣 宛
参議院議長