発議案第8号 農地法の「改正」に反対する意見書
萩原陽子
冨塚忠雄
五十嵐智美
工藤啓子
議決日:平成21年6月29日
議決結果:否決(起立少数)
今国会に提出されている農地法「改正案」は、農民的な土地所有と家族的な農業経営による農業生産の発展を保障してきた戦後農政の根幹を覆し、農業に関わらない大企業や外資系企業の農地利用に道を開くものである。
しかも、これまで農家間の農地の賃貸借を安定させるために地域ごとに定めてきた「標準小作料制度」の削除によって、財力のある大企業に優良農地が集積されやすくなり、政府が育てようとしてきた認定農家や集落営農さえ、その存立を脅かされかねない。
政府は、耕作放棄地の広がり防止と食料供給力の強化を、農地法改正の目的としているが、耕作放棄地が増大している理由は、農産物の輸入自由化政策や市場原理政策によって、家族経営の農業が困難になっているためである。
大企業が国民の共有財産である農地を支配することは、儲けのために農地が資産化される懸念を払拭できず、最も持続的で安定的であるべき農業とは相容れないものである。また、農地が産業廃棄物の捨て場になる恐れもある。
今必要なのは、国際的な食糧不足に対応して食料自給率を向上させるために、価格保障や所得保障などによって、頑張っている農家が営農を継続し、農業で生活できる展望を持てる政策である。今、全国各地で新規農業者への支援制度が広がっているが、後継者もその対象として担い手を増やすなど、地域を上げて取り組んでいる耕作放棄地解消の努力を支援することが求められている。
多くの国民が求めている、安全な国産の食料を安定的に供給するためにも、自給率向上のためにも、必要なのは抜本的な農業支援であり、危険な農地法改正は避けるべきである。
よって本市議会は、農地法改正に反対する。
右、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
平成二十一年六月二十九日
佐 倉 市 議 会
内閣総理大臣
農林水産大臣 宛