発議案第1号 「後期高齢者医療制度」の廃止または抜本的見直しを求める意見書
総務常任委員長
森野 正
議決日:平成21年6月29日
議決結果:否決(起立少数)
昨年四月一日に施行された後期高齢者医療制度は、政府・与党により実施前から修正や見直しが繰り返されてきた。現在も総選挙を控え、天引きの「緩和」や保険料や窓口負担の「軽減」、「名称変更」など手直しを続けている。
本制度については、昨年六月の参議院で廃止法案が決議されており、その後も関連する分野の専門家・諸団体、地方議会などから、相次いで廃止や抜本的な見直しの論議が続いている。本制度の問題点はすでに言い尽くされている通り、@「七十五歳で区分」する発想は、国民連帯による皆保険制度を放棄するもので世界に例はなく、憲法が定める平等権・生存権などに抵触する。A高齢者の身体的「特性」、医療費の「適正化」を口実に国民に自己責任と負担を求め、財政事情・市場主義を優先しても「医療費抑制」効果は上がるはずもない。B制度の継続により家族の絆が壊され、高齢者に肩身の狭い思いをもたらし、自殺者や老老介護を多発させ、健全な社会発展が阻害されるなど。今こそ人間尊重に基づく、部分的でない根本的な見直しの検討が求められている。
間近に迫った解散・総選挙では、「未曾有の経済危機」のもと、雇用不安・貧困化がすすみ、年金、医療、介護、子育てなど社会保障制度のあり方は、財源論を含め重大な争点になる。政府・与党は、二兆円の「定額給付金」や十数兆円の一年限りの「バラマキ」補正予算を組み、後年度に消費税増税を公言する一方、本制度の基にある『社会保障費二二〇〇億円削減』策に固執している。しかし、この手法は最早「限界」であり、政治的な立場をこえて厳しい批判の声が上がっている。
少子高齢・貧困化が進行するなか、家族の絆を豊かにし現役世代と高齢者が共に支え合い、安心して暮らせる社会実現のためには、これまでの経過から「後期高齢者医療制度」はいったん廃止するか抜本的に見直し、真に国民の合意が得られる高齢者医療制度の実現こそ急務であると考えるものである。
よって本市議会は、政府と国会が左記事項について、国民の負託にこたえて真摯に努力することを強く要請するものである。
記
「後期高齢者医療制度」を廃止または抜本的に見直し、真に国民の安心と合意が得られる高齢者医療制度を早期に確立すること。
右、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
平成二十一年六月二十九日
佐 倉 市 議 会
内閣総理大臣
厚生労働大臣 宛
衆議院議長
参議院議長