発議案第7号 どんなに重い障がいがあっても地域で暮らすために「障害者自立支援法」の抜本的見直しを求める意見書
入江晶子
藤崎良次
冨塚忠雄
兒玉正直
議決日:平成20年9月30日
議決結果:否決(起立少数)
二〇〇六年十月から「障害者自立支援法」が全面施行され、障がい者の地域生活に大きな影響を与えた。国の社会保障審議会障害者部会では、現在、自立支援法施行後三年目の見直し議論が行われている。この間、生活の困難を訴えた障がい当事者の声によって、応益負担の軽減措置や施設の減収に対する激変緩和などが盛り込まれた「特別対策」や「緊急措置」が行われたが、これらの措置はいずれも二年間の暫定措置である。
日本も署名している国連の障がい者権利条約は、批准した国が二十カ国を超え今年五月三日に発効された。「第十九条」には「自立した生活および地域生活へのインクルージョン」の理念が謳われている。よって本市議会は、その理念に基づき、どんなに障がいが重くとも地域で自立生活が送れるように国における三年目の見直しについて左記の点を要望する。
一、障がいの範囲の見直しを。
発達障がい、難病の方も含めてサービス利用要件として手帳の取得はいれないこと。また、「障害者自立支援法」の附則、および付帯決議をふまえた「障がい者の範囲」の見直しについて当事者を含めた協議の場を設定すること。
二、「応益負担」の見直しを。
利用料負担は「応能負担」を基本とし事業所の報酬日額化を撤廃すること。
三、障がい程度区分による支給決定の仕組みの見直しを行うこと。
特に知的、精神障がい者の実情にそぐわない介護保険の程度判定に準じた七十九項目の区分を改めて、当事者の生活状態や意向を尊重した決定の仕組みに改めること。
四、介護サービスの国庫負担基準の上限見直しを行うこと。
居宅サービスは義務的経費となっているが、国庫負担基準額という上限があり、長時間介助に対応していない。当事者の状況に応じ支給決定を行った市町村に国は責任を持って必要額の二分の一を支給すること。
五、移動支援を個別給付に組み入れ義務的経費にすること。
移動支援が居宅サービスから切り離され、市町村が行う地域生活支援事業になっている。移動支援は地域生活にとって不可欠な支援であり、市町村の財政力に左右されないように国は責任をもって支弁すべきである。
六、重度訪問介護の利用対象者範囲の見直し。
知的障がい者や精神障がい者が自立生活をするためには、長時間にわたる見守りを含む援助が必要である。現行の自立支援法では、居宅内での短時間の家事援助しかうけることができない。重度訪問介護を知的・精神障がい者へも拡大し、人材確保のための報酬単価の見直しも併せて求める。
七、就労支援策の充実を。
障がい者の一般就労が進まない。職場開拓や企業と当事者双方にたいする就労継続支援をサポートするジョブコーチ制度の拡充を求める。障がい者就労・生活支援センターの量的拡大を図ること。
八、見直しに当たっての当事者参加の検討。
「自立支援法」の見直しに当たっては、身体・知的・精神障がいや難病の方も含めた障がい当事者の参加を前提にそのニーズ調査や実態把握をきめ細かく行い検討を進めることを求める。
右、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
平成二十年九月三十日
佐 倉 市 議 会
内閣総理大臣
厚生労働大臣 宛
衆議院議長
参議院議長