陳情第37号 人権侵害救済法の成立に反対する意見書の提出に関する陳情
受理日:平成22年5月17日
付託委員会:総務
付託日:平成22年6月14日
審査日:平成22年6月21日
審査結果:不採択(賛成少数)
議決日:平成22年6月28日
議決結果:不採択(起立少数)
(陳情の要旨)
包括的な人権擁護を目的としたいわゆる人権擁護法の成立に反対します。なぜなら、正当な市民の言動まで「差別的言動」として介入され規制されるかも知れないということにより、憲法第21条で保障された国民の表現の自由が侵される恐れがあるからです。
佐倉市議会におかれましては、国及び関係諸機関に対して、人権侵害救済法の成立に反対する意見書の提出をお願い致します。
(陳情理由)
(一) 人権侵害救済法で、差別や人権侵害があった、あるいはその恐れがあるという認識に基づいて、令状なしでの居宅への立ち入り調査、動産等の押収、留め置きが出来るという人権委員会というものが設置されることとなっています。
まず、差別、人権侵害の定義があいまいであり、恣意的な運用をされる危険性があります。
人権委員会が、被害者とされる人の申告による案件を、差別だ人権侵害だと断定すれば差別となり人権侵害となり罰則を課すことができる、というものですので、差別をしたとされる人の保護規定がないとするならば、市民の言動まで介入するこの法律により、逆に重大な人権侵害が起こされる危険性があります。
つまり、この法律の運用により、市民の正当な表現行為であっても差別であるとか人権侵害であると恣意的に認定される恐れがあり、そうなると規制され罰則を受けるということですので、国民の言論、表現の自由を抑圧することになりかねません。
すなわち、いわゆる人権侵害救済法は、表現の自由を保障した憲法第21条に抵触し違反するものであることは明白です。
(二)そもそも、国民が自らの良心に従って何か表現する際に、まずそれが法に触れるのではと考えなければいけないような社会は、委縮した社会であり、自由闊達な言論、表現を基盤とした近代国家の在り方に逆行するような社会です。この法律の運用により、そのような前近代的な社会の風潮を生み出し助長することになりかねません。
(三)また、人権委員会に差別、人権侵害の申し出があり、その申し出にあたるとみなされますと、人権委員会の強権が発動されることになります。被害者とされる人からの申告だけで、誰の家でも令状なしで捜索し拘束する権限がある、というものですので、これ自体が大きな人権侵害を起こす危険性があります。そして、そのようなことを行う重大な権限を持った人権委員会を抑制する機関が無いことも、はなはだ問題です。
まるで共産主義国にあってしかるべき制度を、自由な国日本に導入しようとするものです。
(四)不当な差別や人権侵害などは、健全な社会、健全な人間関係の下においては存在しないもの
です。それ故、私たちは、まず健全な社会、健全な人間関係を築くよう努力すべきです。どちらかといえば、教育政策や国民の社会活動などにより解決策を求めるべきでありまして、このようなことは罰則を課したり取り締まったりすることにそぐわず、無理に行えば社会に歪みを生じさせる働きをするだけです。