陳情第23号 生活保護基準引き下げはしないことなどを国に意見書提出を求める陳情書
受理日:平成24年11月19日
付託委員会:文教福祉
付託日:平成24年12月3日
審査日:平成24年12月11日
審査結果:不採択(可否同数)
議決日:平成24年12月17日
議決結果:不採択(起立少数)
【陳情趣旨】
生活保護の受給者は本年5月末に211万人を超え、2012年度で3兆9千億円の給付が見込まれています。厚生労働省の諮問機関である社会保障審議会は支給水準の妥当性や制度運用の厳格化などの「見直し」を検討しています。お笑い芸人の扶養問題に端を発した「生活保護バッシング」や、生活保護費の不正受給、働けるのに働かないで生活保護を受給するモラルハザードがあると、扇情的に取り上げる報道もあります。日本の「相対的貧困率」(全国民の平均可処分所得の中央値の半分に満たない国民の割合)は2009年データで16%と、先進34カ国のうち上から6番目に貧困率が高くなっています。
これに対し、生活保護受給率では、日本はわずか1.6%、ドイツは9.7%、イギリス9.3%、フランス5.7%で、捕捉率(保護を受けられる世帯のうち、実際に利用している割合)は2割程度で、膨大な漏給層が存在しています。
国は、2006年度に老齢加算を廃止し、毎月の生活保護費を約2割減らしました。その結果、「食事を1日2回にした」「親戚や知り合いの葬式にも出席できない」「電気代の節約で真夏でもクーラーを我慢した」など、利用者の生活が脅かされています。
そのうえ、厚生労働省は、年内にも生活保護基準の引き下げを決めようとしています。生活保護基準の引き下げは、利用している人たちのくらしを困難にするばかりでなく、地域別最低賃金や年金、税金の課税基準などに連動します。国民健康保険税・料の減免制度、就学援助、住民税や固定資産税の減免制度など各種制度に影響します。
生活保護制度は、ただ、いのちをつなぐだけの制度ではありません。憲法25条に保障された「すべての国民が健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を保障する制度です。生活保護の増加は貧困の増大の反映であり、今求められるのは非正規雇用や低賃金、無・低年金の改善など、貧困を減らす対策であり、国民生活の最低保障基準の土台をなす生活保護制度を国が責任を持って保障すべきです。
以上の趣旨により、下記の事項を陳情します。
【陳情項目】
1.下記について国の関係機関へ意見書を提出してください。
(1)生活保護の老齢加算を復活すること。
(2)生活保護基準の引き下げはしないこと。
(3)生活保護費の国庫負担は現行の75%から全額国庫負担にすること。
以上