陳情第6号 佐倉市の附属機関等の委員の選任方法の改善を求める陳情
受理日:平成23年8月22日
付託委員会:総務
付託日:平成23年8月29日
審査日:平成23年9月5日
審査結果:不採択(賛成少数)
議決日:平成23年10月3日
議決結果:不採択(起立少数)
【要旨】
佐倉市の附属機関等(以下、通称にならって「審議会等」という)に選任される委員が固定化している現状を改め、佐倉市の意思形成過程に多くの市民が積極的に参画できる機会を確保するよう、審議会等の委員の選任方法を改善することが求められています。そこで、私達は佐倉市議会が、次の点について早急に見直しに着手するよう、佐倉市長に助言下さることを要望いたします。
1.同一人が時期をずらして多くの審議会等の委員を「渡り」するのを抑制するため、一定期間を通算して同一人を選任できる数を制限すること(たとえば、「同一人を委員に選任できる審議会等の数は5年間を通算して5以下とする」といった定めを「佐倉市附属機関等の設置及び運用に関する要綱」に追加する)。
2.「当て職」枠を減らし、公募市民枠を広げるよう委員の選考基準・方法を見直すこと。
【理由】
市の審議会等の委員の選任制度と選任の実態を調べますと、同一人が長期間にわたって同じ審議会等に在任したり、種々の審議会等を横滑り(時系列の「渡り」)で選任されたりする「委員の固定化」現象が見られます。これは、@委員の過半がいわゆる「当て職」着で占められていること、A委員の通算の在任期間は3期または8年のいずれも超えないものとする(「要綱」第4条(4))と定められているにもかかわらず、この原則を適用されない「専門的な知識又は経験を有する者」の枠で選任される委員が過半を占めていること、B同一人の委員併任は3以内を限度とするとされている(「要綱」第4条(5))ものの、同一人がさまざまな肩書を使い分け、時期をずらして複数の審議会等を「渡り」する例が見られること、などのためです。また、C専門的な知識又は経験を有するものの枠で選任された人物がその後に「公募市民」枠で選任された例や、逆に、「公募市民」枠で選任された人物がその後に「専門的な知識又は経験を有するものの枠」で選任された例も見られます。こうした実態は、2種の選任枠の区分があいまいなため、兼務の制限、通算在任期間の制限が十分機能していないことを意味します。
次のような理由から、こうした現状を早急に改める必要があると考えます。
1.上記のような委員の固定化現象は、委員の選任にあたっては「広く各界各層及び幅広い年齢層の中から適切な人材を確保すること」と定めた「要綱」(第4条(1))の精神にそぐわず、市民が公平に市の意思形成過程に参加する機会を損なうものであること。
2.「当て職」委員や担当部課の役職者が委員の過半を占めると、市民の参画による行政のチェック機能、市の意思形成への提言機能が形骸化し、審議会等は行政組織の連絡調整の場と区別がつかなくなる。これは審議会等に期待される本来の姿から逸脱するものである。
3.委員に高度な専門的知見と豊富な経験が求められる審議会等があることは否定できないが、昨今、自発的な研究・学習活動、地域でのNPO活動などを通じて自治体の行財政、ボランティア・コミュニティ活動等に関し、旺盛な関心と豊富な知見を培った市民が少なくない。こうした市民の経験と知見を市の政策形成に活かす機会を広げることは市民協働の精神に合致する。
4.「佐倉市市民協働の推進に関する条例」で、市の政策形成過程への市民の参加手続の一つとして謳われた、審議会等への「公募による市民」参加を活性化させるためにも、委員の固定化現象を改める必要がある。
もとより、審議会等の委員の選任は行政機関の権限に属しますが、地方議会には、自治体の意思を決定する役割とならんで、行政執行の状況を監視する役割が負わされています。こうした観点から私達は、佐倉市議会が、市民協働条例第3条で謳われた市の責務(市は市民がまちづくりに参加する機会を確保するための環境の整備に努める責務)が適切かつ公正に果たされているかどうかを充分に検証下さるよう要望いたします。それはまた、年間4,000万円を超える審議会等の運営に係る予算が効果的に執行されているかどうかを監視する議会の役割でもある、と私達は考えます。